マップ

GPSとはグローバル・ポジショニング・システムの略で「GPS」。現代の日本人なら、殆どの人がGPSとは?に詳しく答えることができないにせよ、確実にその恩恵を受けています。
世界中、どこの国であっても環境さえ整えればこのサービスを享受できるのです。

GPSとは、アメリカ合衆国単独で全人類に無償提供しているサービスです。

マップ

ある時刻における、ある地点を特定することは非常に困難です。特に、2つ以上の点の存在場所の特定と同時性の確認は不可能です。
この辺りの話は、物理学、量子力学、さらに、哲学の分野ですので触れないでおきます。
前に進めなくなるし、「厳密」な話をしたいわけではありませんから。

人は、大昔から「場所」を特定する記録を残す、記録をたどることを行っていました。手段は人類のみが持つ汎用性に富んだ「思考」によります。

鳥類は行動範囲が人よりはるかに広いです。彼らは「思考」に頼らないナビゲーションシステムを「本能」で得ています。
ほかの動物も、多かれ少なかれ限定的ではありますが、何らかのナビゲーションシステムを備えています。「センサー」からの情報と「記憶」によるものが多いですね。
記憶されている情報は、地形、風景であったり、匂いであったりそれぞれが得意の方法で会得しています。

人にそのセンサーは本能としては与えられていないようです。ある問題が生じ解決の必要があれば、「汎用型思考」で地図を残します。

江戸時代の日本で、淡路島で出生した「カヒー・タカーダ」が北方へ大航海を行いました。彼のナビゲーションは、風景の記憶と気象海洋情報の思考的解析に基づいたものでした。

陸上風景を写生して組み立てれば地図を得ることができますが、洋上の点を示すのは困難を極めます。
実際に沿った航路を座標に記録するしかありません。権力者は、その記録を集めます。
地図のコレクションは権力の象徴です。順調だったコレクションも大航海時代となると、大地、海が球形であることを認めざるを得なくなりました。狼狽に似た大問題が起こったと容易に推測できます。
権力をもってしても、一枚の地図で世界を示すことができないことを突きつけられたからです。

チャールズ・チャップリンの映画「独裁者」では、ヒトラーをパロッた彼が、地球儀を弄(もてあそ)んでいます。この時代以降、人類は地図の所有による権力の誇示を止めました。

1972年に打ち上げられたアメリカ合衆国の探査機パイオニア10号、翌年の11号には、地球の場所を記した陽極酸化処理アルミニウム合金・プレートが搭載されています。

無線航法測位システムは、すべて、兵力展開のための軍事用位置測位手段が起源です。のちに民生に開放されました。GPSとは? GPSも例外ではありません。

はてな

はてな

アメリカ合衆国は慈善団体ではありません。現在のところ世界最強の腕力を持っている国家です。アメリカ合衆国に限らず、あまねく国家の行動は「戦略」に基づいています。

アメリカ合衆国の行動の一つに「GPS」のカーネルのオープンソース化があります。

GPSとは何かというと、現在では、地上に小さなGPS端末装置が、厚さ10mm以下の薄い携帯端末にも埋め込まれています。カーナビ、介護用位置通報監視装置、自動販売機防犯装置にも搭載されています。個人のポケットにも入っています。

GPSの中心的役割りを担っているのが、地球を縦横に回る30個の人工衛星です。全部アメリカ合衆国1国だけで打ち上げました。寿命更新されています。

このGPSとは「ロラン」の後継測位システムです。

「ロラン(LOng-RAnge Navigation)」は、アメリカ合衆国、ヨーロッパによる電波航法システムで、GPSへと収束し、まもなくその役目を終了します。

管理管轄役所は大半がアメリカ合衆国沿岸警備隊「コースト・ガード」によるものです。
軍隊ではありません、日本の海上保安庁にあたる組織ですが、この国の方針として、世界中に展開しています。

このシステムに使用する電波は地上から発射していました。波長と使用目的の理由から非常に長く(高い)、無指向性のアンテナが必要でした。
電波は「地表波」を使用する必要があるため周波数は短波でした。地球上の適当な陸地に設置され、船舶等の長距離移動体が自分のポジションを知るために、必要な機材を搭載さえすれば自由に使うことができました。現在のGPSと考え方は同じです。

当時は、世界中、このシステムの恩恵にあずかりました。単純な原理です。
電波からポジションを得るには、同時に最低2か所のアンテナからの電波を受信し、その方向線の交点から求めることができます。
ロランは「A」と「C」があります。ロランは、このアンテナからパルス(一定間隔で瞬間だけ電波を発射する。)を使用していました。
2か所のアンテナから測定するパルスにより、ポジションを求めます。

私が通信士の国家試験を受験した頃は、チャート(海図)にその受信電波の図(双曲関数曲線)を作図し、交差する2点からポジションを特定していました、手作業です。
というより、現代のような専用機器が必要なかったという利点はありました。交差点は2点ありますが、自分が航行している方を誤ることはありません。
また、3つを受信すると確実です。(三角形が得られ、その中に自分が存在し、小さな三角形を要求される。)さらに、正確な時刻を持っていると、理論上一つのロラン電波でもポジションを得ることができます。

マーカス

下の画像は「ロラン・アンテナ」です。セピア色で見にくく申し訳ありませんが、島の中心に細く垂直な赤い線がそのアンテナで、415mあります。根本にこの局舎建物があるのでそれが目印です。
アンテナ

ここは、「南鳥島(マーカス)」で、日本の最東です。東経154°です。日本国土ですから日本標準時を使用するのですが、実際は現地時刻です。

マーカス

この画像は1983年12月に私が赴任した時の航空写真です。1時間以上の実時間差があるので、日本標準時より2時間進めています。
上の石は最南東端とありますが、実際の日本の最南は沖ノ鳥島です。このアンテナのメンテナンスのため、コースト・ガードの隊員が天辺先端まで登って行った現場を見ました。

話によると、先端には、サインができるところがあるそうで、登頂した人は、記念にそこへのサインが許されているそうです。
今はそのアンテナ自体が撤去されています。往復垂直900m以上ありますから、途中で何度も休憩する必要があるし、命綱をかけながら上るので長時間かかります。
ですから、ランチボックス(弁当)を持って午前から上り始めるのです。

無線で何か言ってきました。下で見守る者が全員風上へ自動車で逃げ出しました。私も慌てて飛び乗りました。「放尿」です。
地上へは霧となって飛んでしまい到達しません。この島には民間人が住んでいません。現在は気象庁職員と彼らの支援のために海上自衛隊南鳥島航空派遣隊員がいらっしゃるだけです。

電波航法システム(電波測位システム)は「ロラン」の他にもあります。次の記事でご紹介しましょう。

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海

ロランより原始的な電波航法があります。「NDB」と言い、正式には航空電波標識です。世界中の飛行場にあり、現役です。

海

電波はシンプルに、カッティング・ウエーブ(CW)で、正弦波電波をモールス信号で切りながら発射します。文字は2~3文字で世界中の飛行場が決められている信号を発射しています。測位方法は2か所を受信し、その方向線をチャート上の交点でポジションを求めます。

羽田空港のNDBは、「・・・・ ―― ・(HME)」です。

もうひとつが「デッカ」。「NDB」は直線測位でしたが、「デッカ」も「ロラン」同様、双曲線測位です。「ロラン」がパルスであったのに対し、「デッカ」は単純に正弦波を発射しつづけ、測位は「位相差(ドップラー)」から求めます。

「ロラン」「デッカ」は消えつつあります。ここまで紹介しました電波航法システムは機械で自動的に測位できますが、手作業でも可能なことが利点でした。「NDB」は原始的でありながら有効ですから、いつまでも残るでしょう。

海

もう一つ古くからある航法シスムに「オメガ」があります。

海

「オメガ」も双曲線測位システムですが、特徴は非常に低い周波数を使用していることです。
民生用はなくなったはずです。電波は周波数が低くなるほど水中を伝番(通り)しやすくなります。
低い周波数(超長波)を使用することにより、潜水艦に情報を送れることから、民生使用はなくなりましたが、一部アメリカ海軍が使用しています。

1999年に解体された対馬にあった、このシステムのアンテナは、歴史上、2010年の東京スカイツリー出現前まで、世界最高峰の電波塔でした。
「wikipedia」にその航空写真があります。
私が南鳥島を撮影した時のアンテナとそっくりです。

もう一つ、有名な無線航法システムが「タカン」です。「タカン」は民生用ではありません。
こちらは、非常に高い周波数を使用することと、地上局、移動局の両方に備えられており、極地的な測位に使用します。主に極地洋上作戦に用いるものです。wikipediaにチャンネル周波数が公開されています。
使い方は公開されていませんので、民生用として測位できません。

・ロラン(LOng-RAnge Navigation)

・NDB(Non-Directional Beacon ※無線航空標識局と説明しましたが、日本国内法である電波法の定める名称では、装置としては、無指向性無線標識です。)

・デッカ(Decca Navigator System)

・オメガ(OMEGA radio navigation system)

は、地上からの電波源を利用した無線測位システムでした。

地上から発射する電波の伝番は、3種類(超長波の水中伝番は除きます。)の経路があります。周波数の高い(波長が短い)領域は光に似た伝番で、直進、反射、回折があります。
地球の大気圏外側にある3層の電離層を抜けて行きます。ですから、この領域の電波を利用した広範囲な航法システムには向きません。

短波と呼ばれる周波数帯は地表を這うように伝番する経路と地上、電離層間を反射しながら伝番していく経路があります。
後者の電離層反射波は無線通信に応用しますが、パルスや位相を検出して測位する無線航法には、時間差があり使用できません。地表伝番経路の電波を使用します。

しかし、この経路は減衰が大きいので、複数の無線局を地球上に配置せねばなりません。維持する組織団体、経費の問題があります。

この広域無線航法システムの多くをアメリカ合衆国が引き受けていました。

時計

宇宙空間へ物資を輸送するのは大変なコストがかかることはみなさん承知しています。

しかし、そこの活用は、大きな利益をもたらしてくれるので、そのコストを利益が上回るなら輸送は実行されます。
したがって、宇宙開発は、直接的なコストパフォーマンスを考えるとなかなか実行しがたいものです。

GPSとは人工衛星が必要です。GPSに使用する人工衛星は現在30個が周回していますが、運用当初は、24個でした。
現在までの衛星すべてが、当初打ち上げたものと言うことではありません。寿命があり、更新されています。

アメリカ合衆国の国家戦略として、国家の利益を直接的な「経済的利益」だけに求めているのではないことから、アメリカ合衆国はこの事業を実行推進するのです。
私たちはその恩恵を受けているのですが、このことについては最後に触れましょう。

GPSとは?に答えるGPSの仕組みは、これまでの航法測位システムと大きく違っています。
このシステムに重要な要素は正確な時計です。衛星に搭載されている原子時計は数百世紀以上先でも1秒の誤差もありません。

時計

GPSとは「衛星と受信機との距離のみ」が判るだけです。
GPS衛星が送ってくる情報は、その衛星の位置(起動情報)とその位置での時刻のみです。
理論的には、受信側にも衛星に完璧な同期が取れる自立時計があれば、1個の衛星からの情報だけでポジションを知ることができますが、現実的ではありません。

受信側は日常に耐える程度の水晶発信(クォーツ)時計で構いません。
その「一つの時計だけ」で複数(4個以上)の衛星から情報を受けると理論上では時刻誤差は消滅できます。

GPS衛星が送信する情報はシンプル、かつ、正確です。動く「BS」のようなもので、広域に電波を送出しています。
送ってくる情報が少ないファクター(要素)で、かつ、正確であるため、受信側では、この情報からポジションを得る方法を考案すればいいのです。受信側が利用法を工夫することが前提です。

ですから、色々方法があります。基本的には、非常に単純な方程式から算出します。
ファクターが3つ、2種類で構成された3つの二乗項からなる3元連立方程式です。電卓程度のプロセッサーで計算可能です。

また、「補正」が重要で、常に測位状態であれば非常に誤差が少なく、さらに、GPS衛星からの測位でなく、他の自前地上局(各携帯電話会社の無線局)でも構わないのです。
要は、常に演算処理しておればいいのです。これは、トンネルなど電波が途絶えても位置を失わずに済むことにもつながります。

GPS衛星の時計は正確ですが、現在(2014年)では、16秒遅れています。これは、GPS運用当時から現在まで、16回、閏秒があったのですが、補正していないからです。

誤差

GPSとは?

誤差

GPS衛星は電波を発射するのみです。受信しません。正確に表現するなら、姿勢制御などの衛星管理のための通信以外は受信しません。

したがって、GPSが移動体を監視すると言うことなどは都市伝説です。

また、GPSで判ることはその衛星との距離のみで、方向もわかりません。地上で計算することにより知ることはできますが、方向を情報としてはいません。

つまり、ここが以前の無線航法測位システムと大きく違うところです。
それまでのシステムはどれも、その発射源から自分への方向を求め作図によりポジションを得たのとはまるで仕組みが違うのです。

GPSでは、高度も求めることができます。つまり、3次元座標を知ることができます。しかし、高度については大きな誤差が生じます。

あまりに正確な時計であるため、一般相対性原理理論で判っている、重力による空間の歪も検出してしまいます。
このことによる誤差は、すでに理解されている方程式で補正できます。

GPSも同様、軍事目的が本来理由です。したがって、軍事モードと民生モードで運用されておりますが、民生モードでも、測距機器メーカーの工夫により、理論上、数センチの誤差まで縮小できます。

問題は、誤差の小ささ自体に起こることです。それは、その機器がどの場所とか、たとえば、ポケットだとか、カメラの三脚とか、車載用であれば、アンテナが外部アンテナとかのわずかな距離も測位し、
精密計測は計測時間に左右されるので、それが移動しつつ補正を繰り返すことにより誤差が広がってしまうことです。

これも、メーカーそれぞれの工夫で解決に近づけることができます。精密測定は、ある程度の距離、例えば、自動車の左右などで、同時に角度を持って測定すれば、三角測量の原理も応用できるので、飛躍的に誤差が減ります。
この距離自体が原因で誤差を生むので、正確な設置状況を機器に入力する必要があります。

GPSとははじめ軍事目的ですが、GPS運用当初は民生モードに人為的に誤差を含ませられていました。
が、現在は解除されています。今後も再開はしないとされています。

軍事モードはさらに正確なポジションを短時間一回のみの測距で得ることができるとされており、そのために方程式に必要なファクター情報が伏せられています。
しかし測距時間さえ長くとれば民生モードでも理論上は数センチしか誤差はありません。

現在では、上記の人為的誤差の挿入が行われたら、そのことを検出できますので、無意味ではあります。
最少誤差を得る方式は、ドップラーを利用した「ハイスピード・スタティック方式」で、1cm以内です。(民生モード)

電波塔

GPSからの秘匿情報はCDMA通信によるものです。今回はこの方式についてお話します。
GPSとは?のこの部分について誰にでもわかりやすく書いている書籍は見当たらないので、丁度いいと思いますよ。

電波塔

CDMA方式のことをCDMA変調と説明している書籍がありますが、これは誤りです。変調方式ではありません。

変調とは、e=E2πftで表せる正弦波を変位させることです。fは周波数で、Eは電圧の平均絶対値(振幅を示す)です。
この2つしかファクターはありませんから、AM(振幅変調「アンプリチュードモジュレーション」)とFM(フレクェンシーモジュレーション)」)しか、科学的に存在できません。

CDMA方式のことを周波数拡散伝送方式と言います。「時間」を利用するタイプと「周波数」を利用するタイプがありますが、結果は両者とも「ノイズ(雑音、ホワイトノイズ)」として検出されてしまいます。
音を聞くと、まんべんなく「ザー」と言う感じかな。これは、送りたいデータを数値化し、そこへ、人工乱数(再現できる乱数のこと)を加えて演算処理し、新たな数値を派生させその数値を根拠にシンセサイザーで「波」を作るのです。
この波は高さ、時間幅がでたらめなわけです。

しかし、人工乱数を元にでたらめなだけで、検算すれば元のデータを得ることができます。この人工乱数を秘匿しておけば、その乱数を持たない者にはノイズでしかないわけです。
「ノイズ」ですから、上に被せてもノイズです。つまり、同一周波数帯にいくつもデータを載せても検算後得られる数値はそれぞれ別の独立した数値を得ることができます。
複数信号を通信できるので、周波帯の節約、有効利用ができるのです。たくさん積み上げると再生品質が悪くなります。

また、ノイズですから、通信があること自体も秘匿できます。
ようするに、通信中か否かと、内容を秘匿できる通信技術です。現在もっとも普及しているデバイスは携帯電話やスマホでどの携帯通信機です。
工業生産ラインで同じものを大量生産して、それぞれの端末が使用する周波数を別のものにすることはできませんから、この方法が使われています。

脇道に入りましたが、公開されている、GPSの軍事モードが使用するCDMA方式について説明しました。

GPSとは? GPSの最大の特徴はシンプルにして正確なところです。この情報がシンプルであるが故、工夫に余地があるのです。
正確なポジションを得るためには継続測距がポイントと説明しました。これは、移動体には非常に都合のいい性質です。

船

航海技術は人類が造船技術を得たと同時に出発しました。

船

人間への進化の過程で失った、ソフトウエアである本能、ハードウエアであるセンサーと引き換えに汎用型処理装置である脳を得ました。生きるための手当ては、すべてこれ一台で処理せねばなりません。
食を得る手段も、身を守る手段もこれ一つです。

幸か不幸か、「好奇心」は失いませんでした。むしろ極度に肥大したようです。見えるところへは行きたい。
そこから見えるところへも行きたくなるだろう。身の回りを固めたい。大きくしたい。ずっと遠くまで自分の管理化にあれば安心である。

これが、大航海へいざなったのです。

船舶や航空機など長距離ビークルを扱う者は、距離を「ノット」で示します。漢字では「節」と表します。語源はロープの「結び」です。
日本の「蝶々結び」などの「○○結び」が英語では「○○ノット」と言います。体系的な航法システムがなかった頃の地球規模の航海では、航法技術は自力でしか存在しません。
そのため、航海技術を持つものは尊敬を集めました。現在でも当時の面影を残すものがあります。

航海中、船舶の速度を知るには、時計と動かないもの、あるいは動きが完全把握されているものから計算推定しました。が、高い精度を求めるためには、それなりの時間が必要でした。

陸地風景を観察する。天体を観測することです。

短時間で速度を知るには、巻き取られている長いロープを海に流しました。
このロープには、一定間隔で結び目が施されており、この結び目が繰られていく数と時間から速度を求めたのです。

これが現代の「ノット」の由来です。

世界標準が必要となったことから、子午線の長さを基本としました、緯度線は場所により距離が違うからです。
子午線の長さを地球の中心角で割り、1°の60分の1を60マイルとしたのです。毎時1分(角度)が1ノットです。

テレビなどのニュースキャスターが「時速○ノットで云々・・」と言ってますが恥ずかしい誤りです。
「時速時速○×1852m」と同じです。1ノットは約ではなく、ほぼ秒速2mです。
一方は子午線、もう一方は赤道長が基準です。計算例は止めますね。電卓で計算してみてください。

「ヒント:光の速度はかなり正確に秒速30万キロメートルで地球を7.5周できる。」(自転遠心力のため子午線より赤道の方が長い)

速度の算出はできました。

現代でも遠距離航法の現場で「ノット」が使用されている理由は、1°北上すると、60マイル北上したことに等しいからです。東進、西進には使用できませんが、球面上の距離が速度に直結し、「60」と言う数字が便利です。球面三角形から求める海域は、長方形マトリックスのメルカトル図法地図上に直観的にその海域をイメージできます。

地球規模で移動するには、長さによる距離と角度による距離、つまり、長さを時間で割った速度より、角速度の方が断然便利なのです。

時代が移っても、地球は丸いし、衛星は円運動に違いありませんから、「ノット」はそのまま使用され続けるでしょう。

コンパス

次は、ヘッディング、船首の方向です。海流と風にも流されますから、相対速度しかわかりません。
絶対速度は、陸が見えない洋上では、天測(天体と六分儀による測距方法)からしか得ることは不可能です。
ですから、時刻は職人の技による複数の機械式時計の平均値でした。

コンパス

長距離航行移動体にとって、ポジション把握は生命線です。古くは、これを得るために勉強し訓練しました。だからパイロット(船乗りを含む)は尊敬されるのです。

永久磁石の性質が発見されて「羅針盤」が発明されました。革命的出来事だったでしょう。
この羅針盤で磁軸点が判ります。地軸とはずれていますが、変化はほとんどないのでこれで構いません。

磁軸と地軸のズレは、近年まで、それを補正するための情報が放送されていました。
私が現役の若い通信士であった頃、定時放送される「ウルシグラム」と言う短波モールス信号放送を受信していました。
この放送は地球の状態を実況していたのです。
なんてグローバルなんだ! あわせて、短波通信に必要不可欠な情報として、太陽の黒点の数「SSN(サン・スポットナンバー)」も放送していたんですよ。

あと、航海に必要なものは、国家の財産であるチャート(海図)です。これがあればポジションを知ることができます。
海図があれば位置、時刻一つ不明であれば、海図ともう一方から方程式と作図で不明要素を割り出せるのです。

ここで、読んでほしい本があります。若い頃、涙して読んだ記憶があります。
無料図書館サイトの「青空文庫」で無料で落とせます。須川邦彦著「無人島に生きる16人」です。実話の日本人漂流記です。一部引用します。

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午後三時四十分、両船の距離は八百メートルとなった。本船は、帆柱に万国信号旗をあげて、汽船に信号した。
「汝(なんじ)の経緯を示せ」
汽船は、わが信号に応こたえて、多くの信号旗をあげた。
その信号旗の意味をつづると、「西経百六十五度、北緯二十五度」
これで、本船のたしかな位置がわかった。
「汝に謝す」
お礼の信号をすると、
「愉快なる航海を祈る」

・・・・・・・・・・・・・・

出典:青空文庫 須川邦彦著「無人島に生きる16人」http://www.aozora.gr.jp/cards/001120/files/42767_15618.html

知っていただきたかったのは、「大海原で本当に必要なもの」です。

私が若者であった近年でさえ、「短波(HF。3Mhz~30Mhz)」による通信が命の綱であったのです。
この通信さえできれば、位置を得ることができたのです。
この電波がいかに通りやすいかは、重大な意味のある情報で、それが短波帯電波の反射伝番に大きく影響する地球電離層の厚さを決める太陽の黒点だったのです。
電波の実用が始まる前は、視覚による直接通信の旗流信号だったし、ロープの結び目だったのです。

発祥が軍事目的であったにせよ、電波航法測位システムは安全なる航海に大貢献しました。この時代も、まもなく終わろうとしています。